フランス版ジブリ?!映画『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』の感想(ネタバレあり)

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2012年に、フランスで公開された映画『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ(原題:Ernest et Célestine)』。

映画の予告を観た瞬間「これは絶対おもしろそう!」と思い、すぐに借りてきて視聴。

今回は、映画『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』のあらすじと感想(※ネタバレあり)を紹介します(`・(エ)・´)ゝ

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あらすじ

物語の舞台は、「地下で暮らすねずみの世界」と「地上に住むくまの世界」。

ねずみの世界では、子供の頃からくまは恐ろしい動物であると教え込まれ、くまの世界でもねずみは忌み嫌われている。

孤児院で暮らすねずみのセレスティーヌは、絵を描くことが大好き。

嫌々ながらも歯医者を目指すため、毎晩くまのいる地上の世界に行き、くまの歯を盗むのが日課。

山奥の小屋に一人で住む、くまのアーネストは貧乏でいつも腹ペコ。

街に繰り出しては、ストリートミュージシャンとして小銭を稼ぐ生活をしている。

ある日、ひょんなことから出会った二人は、犯罪を犯してしまい警察に追われる身に。

山奥の小屋で逃亡生活を送る二人の身に起こるのは・・?!

くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』とは?

ベルギーの人気絵本が原作


ベルギー・ブリュッセル生まれの絵本作家、ガブリエル・バンサンが描いた絵本『くまのアーネストおじさん』が原作。

1981年に初めて出版され、現在では20タイトルを超える人気絵本シリーズ。

その美しい絵柄と優しいストーリーは各国で高い評価を受け、世界中の子供たちに愛されています。

アカデミー賞アニメ部門にノミネート

オスカー像

日本では2015年に公開された、映画『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』。

なんと上映された劇場は、全国でたったの3館というレア度!

さらに、『アナと雪の女王』『風立ちぬ』と共に、第86回アカデミー賞 長編アニメーション映画賞にノミネートされた作品でもあるのです。

映画の感想(※ネタバレあり)

フランス版ジブリのような世界観

くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ
画像出典:TSUTAYA

温かみのある色の使い方や水彩画の優しいタッチが、観ていて心をほんわかさせてくれるこの作品。

音楽もシンプルなノスタルジック調の楽曲で、作品の雰囲気にぴったりなところも好印象。

フランス語で話す動物たちも、なんだかちょっぴりオシャレに感じちゃいます(笑)

その繊細な絵のタッチや生き生きとしたキャラクターの動きは、まさに「フランス版ジブリ」と言っても過言ではないほど。

中でも、『かぐや姫』や『ホーホケキョとなりの山田くん』寄りの画風の印象を受けました。

ねずみ達が暮らす地下の街並みは、全てがミニチュアサイズで出来ていてとっても可愛い♡まるで、ラピュタに出てきそうな世界観です。

また、アーネストとセレスティーヌが大量のねずみの警官に追われるシーンは、ナウシカの蟲たちが襲いかかるシーンにも似ている・・などなど。

ところどころに、ジブリっぽさが感じられる作品でした。

映画『レオン』さながらの逃亡生活

くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ
画像出典:TSUTAYA

絵を描くことが大好きなセレスティーヌと、音楽家のアーネスト。

根っからの芸術家気質の二人は、逃亡生活の中でも音楽を奏でたり絵を描いたりと、芸術を楽しみながら暮らしています。

芸術を楽しみながら生活する一方、警察の追跡に怯えるセレスティーヌとアーネストの心情が、絶妙なコントラストで描かれているのが秀逸です。

ところで「おじさんと少女が一緒に逃亡生活をする」という、このストーリー。

映画『レオン』を思い浮かべた方も多かったのではないでしょうか^^

テーマは種類を超えた愛?


映画『パディントン』でもそうでしたが、テーマはズバリ民族間差別」ではないでしょうか。

多民族国家である、フランスならではの問題提起かもしれません。

ねずみたちは、幼い頃から「くまはねずみを食べる恐い存在」と教え込まれています。

しかし、実際は全てのくまがねずみを食べるわけではなく(アーネストはセレスティーヌを初対面で食べようとしますが笑)、ねずみを食べないくまも存在するのです。

また、くまたちもねずみを忌み嫌っています。

作中では何故嫌っているかは説明されていませんが、おそらく人間がねずみを嫌う理由(汚い、一匹いると何十匹もいるetc..)と同じようです。

しかし、セレスティーヌとアーネストのように、気が合えば仲良くすることもできる。

つまり、ねずみとくまはお互いをよく知ろうともせず、偏見や差別によって距離を隔てながら暮らしているのです。

「ねずみ」や「くま」という大きなくくりではなく、個々を知ろうとすれば、セレスティーヌのようなくまと仲良くしたいと考えている者もいるはず。

思い込みをなくし、お互い歩み寄ろうとすれば理解しあえる。

綺麗事のように聞こえるかもしれませんが、それが解決策の第一歩なのかもしれません。

口で言うのは簡単でも、中々実行するのは難しいですけどね。

とはいえ本編では、くまとねずみが敵対視している理由が全く明確にされていないため、少し説得力に欠けるのも事実です。

二人の「罪」はどこいった?

裁判

どうしても腑に落ちなかったのが、最終的に裁判の論点がすり替わっていること。

最初に二人が問われていた罪は、アーネストは「窃盗した罪」、セレスティーヌは「くまをねずみの世界に連れてきた罪」で警察に追われていたはず。

しかし、いつの間にか二人の罪が「くまとねずみが共に生きること」にすり替わっているのです!

また、裁判官を火事の中から助けたことによって、二人の犯した罪はなかったことになる結末も、なんだかご都合主義のような気もしました。

泥棒、ダメ。ゼッタイ。

泥棒

キュートな見た目とは裏腹に、結構なワルのセレスティーヌ。

腹ペコのアーネストに食い逃げを促したり、警察に捕まったアーネストを逃がしてさらに窃盗の協力をさせたりと、どんどん罪を重ねていきます(笑)

まぁ未成年のようですし、くまの世界から盗むことは治外法権の可能性もありますから、百歩譲って無罪かもしれません。

アーネストをねずみの世界に連れてきたのも、確かに軽率ではありましたが、勝手に地下で眠り込んでしまったアーネストも悪いですしね。

だが、アーネスト。お前はダメだ(´・(エ)・`)

アーネストが盗みを働いたのは、自分自身が暮らすくまの世界のお菓子屋さん。

いくらお金がなくて腹ペコだったとは言え、盗み食いをするのは犯罪です。

しかもアーネストが貧乏な理由は、彼自身が真面目に働いていないため。

確かに被害にあったお菓子屋さんは、汚い商法で商売をしていましたが、それとこれとは話は別ではないでしょうか。

ねずみの世界もくまの世界も、皆勤勉に慎ましく生活している中で、盗んだお菓子と車で自分達の好きなことをしながら生活するアーネストとセレスティーヌ。

人と違う考えや嗜好を持つことは構わないけれど、犯罪するのは別でしょう(`・(エ)・´)!!

・・と、ツッコミをいれたくなりました(笑)

全体的に矛盾だらけ?

裁判官を助けたから二人の罪が許されたような風潮や、そもそも二人には窃盗を犯した罪の意識が全く感じられないところなど、全体的にツッコミどころ満載な場面が多かったのも印象的。

もちろん、80分という短い上映時間では説明できなかった部分もあると思います。

しかし、せっかく良い雰囲気のアニメーションなのに、肝心のメッセージ性が矛盾していたのがとても残念でした。

ちなみに、北米版DVDのジャケットはコチラ↓

完全に犯罪者扱いです(笑)

余談ですが、日本の映画レビューは絶賛の嵐なのに対し、外国のレビューを見ると結構批判の声がありました。

そもそも「幼い女の子と中年の男性が一緒に暮らす」というストーリー自体、外国では日本よりセンシティブな内容のようです。

くまの評価(★★☆☆☆)

くま好きの視点から見る、管理人の個人的な「くま」の評価です(´・(エ)・`)

クマの生態に関する素朴な疑問

どんぐり

まず気になったのが「くまってねずみ食べるの??」という素朴な疑問。

実際、野生のくまの主食はどんぐりなどの木の実。もちろん魚や屍肉なども食べますが、基本的に草食よりの雑食です。

そこらへんの設定が曖昧になっていて、何だかモヤモヤした気分になりました。

まぁアニメですし、こんなことを気にするのは私だけかもしれませんね(笑)

あのアニメと似てる・・?

アーネストの住んでいる雑然とした小屋の感じと、その小屋の中でセレスティーヌとアーネストが駆け回るシーン。

どこかで見たことあるなぁ、と思っていたのですが・・。

そうそう、細田守監督の『バケモノの子』(’15)の「熊徹」です!

そういえば、キャラクターの風貌や性格もちょっと似ているかも。

小さなセレスティーヌに翻弄されるアーネストの大きな図体が、何だか憎めなくて可愛く思えました。

正義感溢れるシロクマ警官

個人的にカッコイイと思ったのが、白くまの警官。

くまの世界の住人たちはほとんどがブラウンベアーなのに対し、何故か警官だけが白くまなんです。

やはり、シロクマはクマの中でも割と肉食よりで強いイメージだから?

それとも、シロクマの「白」=「潔白」の意味を込めているからでしょうか。

何はともあれ、キリリとした白くまの顔に、警官の制服がとても似合っていたのが印象的でした。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
全体的な雰囲気やデザインは良かったのですが、腑に落ちない点がいくつかあり、個人的には「???」となる作品でした。

映画『テッド』のように振り切れていれば楽しく観られるのですが、問題提起しようとしながら、どこか矛盾している映画のような気がして心から楽しめず。。

勝手に期待しすぎたのが、悪かったのかもしれませんね(笑)

とは言え、登場するキャラクターはとても可愛いですし、レトロな町の雰囲気や音楽など、アート作品としては本当に素晴らしい作品!

ピクサーやディズニー映画など、CGアニメが当たり前になっている時代に、このような作品が生まれることはとても大切ですよね。

もちろん親子でも楽しめる映画だとは思いますが、個人的には子供にオススメしたくないなぁ・・と思ったのが正直な意見。

ただ、アートとしては子供たちの心に残してあげたいと思わせるような作品でした。

以上、映画『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』の感想でした(´・(エ)・`)

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